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2019年11月19日

最高裁による養育費算出基準の改定により、養育費が増額か(2019年11月12日のニュース)

 「時事ドットコムニュース」によれば、裁判所で使われている養育費の算出基準について、最高裁が社会情勢の変化を反映させた改定版を策定し、12月23日に詳細を公表する、とのことです。

 現在は、離婚する前なら婚姻費用、離婚した後なら養育費の具体的な金額を算定するに際して、2003年に裁判官により公表された算出基準が裁判所でも一般的に使われており、インターネットで検索するとよく出てくる、「義務者の年収」を縦軸に、「権利者の年収」を横軸にしたグラフが有名です。細かい話をすれば、このグラフは、少し難しめの婚姻費用や養育費の算定式(数式)に基づいて作成されており、その数式に個別ケースでの収入などを当てはめていくことで細かい金額が出てくる仕組みで、これを分かりやすく分布図的にしたものがこのグラフになります。したがって、裁判所で養育費などの金額に関する争いがある場合、最終的には、細かい算定式に基づいた計算をして、裁判官が結論を出していきます。
 この算定式が、今後どのように変更されるのかは12月の詳細な公表までは分かりませんが、基本的には増額の方向だろうということで、増額の幅が大きければ、今後、養育費の増額請求を求める調停が多く起こされる可能性があります(家庭裁判所の関係者の皆様は大変だと思います。)。
 この婚姻費用や養育費に関する紛争は、お金を受け取る側(おおむね妻側)は「低すぎる」と言い、逆に支払う側(おおむね夫側)は「高すぎる」と言って、立場による感じ方の違いが鮮明にあらわれる紛争です。子育てに一定のお金がかかるのは当然ですので、実際に子どもの面倒を見ている側からすると高い金額に超したことはないわけですが、支払う側からすると、自分の手元に子どもがおらず、面会交流も満足にされないことが多く、親としての実感を持ちにくい中で、別れた妻(あるいは夫)に対してただお金を送金することの虚しさが「高すぎる」感覚を生む一つの要因ですし、最終的には養育費の不払い問題にまでつながるわけです。
 思えば、平成の前半ころまでは、離婚した場合、子どもは妻が引き取るのが夫婦共に当然で、多くの夫もそれを望み、離婚後は子どもとあまり関わらないという夫が多かったように思いますが、平成の後半ころから、離婚に際して、夫側が親権や監護権を求めるケースが非常に増えてきている印象です。ところが、結局のところ、(いいか悪いかは別として)妻側に親権や監護権がわたることが現在でも多く、夫側からすると、無念にも子どもと離れてしまうことになったにも関わらず、養育費だけ支払えというのはより一層納得がいかないということになっているのが最近の傾向です。  
 私の個人的な見解としては、別居あるいは離婚により夫婦という「横の関係」が終わったとしても、親子という「縦の関係」が継続する「仕組み作り」こそが、支払う側の「高すぎる」感覚を緩和し、ひいては、養育費の不払い問題の解消にもつながると思います。もちろん、現在でも、養育費というのは、子どもに対して支払われているという「建前」ではありますが、実際に支払った養育費がどのように子どものために使われているかは支払った側には全く分からないわけです。例えば、養育費を受け取った妻(あるいは夫)が、それを子どものために使わずに、新しくできた恋人とのデート費用に使うことも事実上妨げられません。つまり、養育費は、本来、親と子という「縦の関係」のお金であるにもかかわらず、実際上は、別れた夫婦という「横の関係」におけるお金の問題になっています。
 ですので、養育費の本来の目的である親子という「縦の関係」を離婚後も継続するための「仕組み」として、離婚後の共同親権はもちろんですが、離婚後に子どものための別会計を設け、そこに、両親が共に、それぞれの収入に見合った養育費を入れ、その会計は両親が共同管理するのがいいと思います。会計の共同管理をする以上、子どもに対してどのくらいのお金をかけてどういう教育をするかということを協議して決める必要がありますし、自分が支払った養育費が具体的にどのように利用されているかがお互いにクリアになりますので、支払うことへの納得感が出てきます。
 こう言うと、離婚した夫(あるいは妻)と、子どものこととはいえ話などしたくないという人も多いと思いますが、「子どもの教育に関して口出しや干渉はさせたくないけれど、養育費だけは支払え」というのは筋が違うように思います。もちろん、離婚に至った理由や経緯が、元夫(あるいは元妻)の暴力や虐待のような場合は、そもそもそのような親に親権者の資格はありませんので、子どもの教育に口出しをする資格もなく、養育費だけ支払わせればいいのです。
 このように、養育費の支払いというのは、具体的に何に使うかについての意見をあらかじめ反映させる機会が与えられ、かつ、実際の使途を明確にしてもらうべき性質のお金であり、そういう点では税金の支払いに似ているように思います。
posted by 上田孝治 at 16:48 | TrackBack(0) | 世の中のニュースを徹底分析

2019年11月18日

お笑いコンビ・ミキの京都市PRツイートにステマ疑惑(2019年10月31日のニュース)

 「@niftyニュース」によれば、吉本興業は、所属するお笑いコンビ・ミキが京都市についてツイートしたことが、いわゆるステルスマーケティング(ステマ)と報じられた件について、「ステマには当たらないものと考えております」との見解を報告した、とのことです。

 そもそも、ステマというのは密かに宣伝広告を行うことであり、芸能人等の影響力を持つ人が、事業者から報酬などをもらっていることを示さずに行うパターンや、事業者の関係者が一消費者のフリをして、いわゆる口コミ評価において商品やサービスを高く評価するパターンなどがあります。
 ステマに関する法的な規制として景品表示法の優良誤認や有利誤認がありますが、これはステマ特有の規制をしているわけではありません。消費者庁によれば、『商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該「口コミ」情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。』とされています。
 景品表示法の規制は、@商品やサービスの内容や取引条件について、実際のものよりも著しくいいものと見せかけていることが必要であること、A景品表示法の不当表示の責任を負うのは、あくまでも「自分の」供給する商品やサービスの取引についての不当表示に限られることがポイントになりますので、ステマの本質である「宣伝広告ではないフリをしつつ実際には宣伝広告を行っていること」そのものを規制するものではありません。
 したがって、ショップが自作自演でレビューを偽装するようなケースでは、実質的には広告であるにもかかわらず、客観的な評価を装うものであり、購入者に対して誤った印象を与えることになりますので、商品やサービスの内容や取引条件について、実際のものよりも著しくよいものと見せかけていれば、景品表示法の不当表示(優良誤認又は有利誤認)にあたる可能性があり、仮に不当表示ということになれば、ショップが、今後同様の違反行為を行わないことなどを内容とする「措置命令」の対象となります。他方で、今回のニュースのようなケースでは、芸能人自体が景品表示法に違反するということにはなりません。
 景品表示法に基づく規制はこのようになっていますが、有名人の方は、望むと望まないとにかかわらず、ステマに利用される危険性が常にあります。利用される危険性があるという意味では、反社会的勢力との接触も同じ問題があります。したがって、有名人の方が所属する会社が事前あるいは事後に適切に対応することはもちろんですが、ご本人も会社任せにするのではなく、常日頃から注意しておかないといけない問題であると思います。
posted by 上田孝治 at 00:00 | TrackBack(0) | 世の中のニュースを徹底分析

2019年11月17日

アイドルグループ「嵐」の公演チケットを高額転売したチケット不正転売禁止法違反の容疑で、女を書類送検(2019年10月24日のニュース)

「時事ドットコムニュース」によれば、送検容疑は、転売目的でインターネット上に定価を超える販売価格を載せ、チケット4席分(定価計3万2000円分)を計42万3000円で転売した疑いで、女は、元々の購入者の身分証明書を偽造し、入場時に提示させたとのことで、チケット不正転売禁止法違反の適用は全国初とのことです。

 チケット不正転売禁止法違反の事例が世の中に山ほどある中で、2019年6月施行の同法がようやく適用になったという印象です。しかし、この書類送検された件は、十数倍という異常な高額の転売であり、身分証明書の偽造までしているという極度の悪質性があったことから適用されたという印象ですので、チケット不正転売禁止法による不正転売の撲滅への道は険しいなというのが率直な感想です。
 そもそも、チケット不正転売禁止法違反の要件は、定価を超える販売であればよく、十数倍もの高額である必要はありませんし、身分証明書の偽造も要件ではありませんので、極度の悪質性などなくても、粛々と適用すべきと思います。
 もっとも、チケット不正転売禁止法の不正転売の要件には、「業として行う」というものがあり、実際に適用する際にこの要件が言い逃れされやすく、速やかに改正が必要であると思います。チケット転売サイトを覗いてみると、「急な仕事」などの言い訳(=業ではない)をしつつ、定価の数倍で転売しているケースが山ほどあります。急な用事ができたので、持っているチケットを自分では使えず転売しないといけないケースがあるとしても、定価(および妥当な実費)で転売できれば十分なわけで、高額転売まで許す理由はないと思います。
 また、日本国外において、外国人が不正転売や不正仕入をする場合が同法の処罰の対象外となっていることも大きな抜け穴になっていると思います。
posted by 上田孝治 at 00:00 | TrackBack(0) | 世の中のニュースを徹底分析