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2020年08月08日

《宅建試験対策23》配偶者の居住の権利に関する民法改正

≪改正されたポイント≫
a)被相続人の配偶者が、被相続人の遺産である建物に相続開始の時に住んでいた場合、被相続人が亡くなった後も、引き続き、その建物に居住したいというケースがよくあります。
 そのための方法として、例えば、配偶者がこの建物の「所有権」を遺産分割で取得して住み続けることはもちろんできますが、居住建物の評価額が高額となることで、配偶者がその他の遺産(預貯金など)をあまり取得できない可能性が出てきます。
 そこで、改正民法では、居住建物の「所有権」ではなく、無償での「使用収益権」のみを配偶者に取得させ(所有権そのものよりも評価額は下がります。)、他方で、「使用収益できないという負担の付いた所有権」を配偶者以外の者に取得させるという仕組みを新たに作りました。これが「配偶者居住権」です。配偶者としては、建物に住み続けられればそれでよく、「所有権」までは必要がないわけですから、居住建物の「使用収益権」のみを取得して住み続け、その分、預貯金などのその他の遺産を多めに取得することができます。
 配偶者居住権は、何もせずに当然に成立するものではなく、遺産分割、遺贈、死因贈与によってはじめて成立し、居住していた建物の「全部」について、原則として、配偶者が死ぬまでの間(終身)、無償で使用や収益できる権利です。「収益」をする権利も含まれますので、配偶者は、建物を賃貸に出すことも可能です。
 また、配偶者居住権は、「登記」(建物の「引渡し」ではダメです。)をすることによって、居住建物の物権を取得した第三者にも対抗できます。この登記の登記義務者は、建物の所有者ですので、民法の規定で、居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負うとされています。

b)被相続人の配偶者は、被相続人の遺産である建物に相続開始の時に無償で居住していた場合に、一定期間、居住建物を無償で使用する権利を与えられます。これが「配偶者短期居住権」と言われるもので、改正民法によって新設された規定です。
 一定期間というのは、@居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合は、「遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日」または「相続開始の時から6ヶ月を経過する日」のいずれか遅い日までで、A遺言がある場合など、@以外の場合は、居住建物の取得者が、配偶者短期居住権の消滅の申入れをした日から6ヶ月を経過する日までとなっています。
 配偶者短期居住権は、要件を充たせば、当然に発生する権利であり、遺産分割・遺贈・死因贈与によってはじめて成立することになる配偶者居住権とは大きく異なるものです。
 また、配偶者短期居住権は、一定期間、建物を無償で「使用」する権利ですので、「収益」は認められていませんし、登記をすることもできません。


配偶者居住権・表1.PNG