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2020年07月19日

《宅建試験対策20》賃貸借契約の存続期間、不動産の賃貸人たる地位の移転に関する民法改正

≪改正されたポイント≫
a)賃貸借契約において期間を定める場合の期間の上限について、改正前は20年とされていました。しかし、20年を超えるような期間のニーズがあることから、改正により、上限は50年となりました。
 なお、期間を定めない賃貸借契約は引き続き認められますし、「最短」期間(下限)についての制限がないことは改正前後で変わりません。

b)賃貸不動産の所有権移転に伴って、賃貸人の地位が移転するケースに関しては、改正前は直接の条文は存在せず、判例により様々なルールが定められていました。
 まず、不動産賃貸借契約における賃貸人の地位の移転については、特段の事情のある場合を除き、「賃借人の承諾を必要とせず」、旧所有者と新所有者間の契約によってすることができるとされていました。
 また、「対抗要件を備えた」賃借権が設定された不動産の譲受人は、「特段の事情がない限り」、譲渡人から賃貸人の地位を承継するとされていました。この点、譲渡人と譲受人との間で、賃貸人の地位を譲渡人に留保する合意をしたとしても、直ちに「特段の事情あり」とは言えないとして、賃貸人の地位は移転するというのが判例の考え方(留保の合意の効力を否定する考え方)でした。これは、賃貸人の地位が移転しないことになると、賃借人は知らぬ間に転借人の立場に立たされ、地位が不安定になるからという理由です。
 改正により、これらの判例ルールをおおむね条文化しましたが、いくつか異なる内容もあります。以下で、改正後のルールについて賃借人に対抗要件がない場合とある場合とで分けて説明します。
 まず、賃借人に「対抗要件がない」場合、不動産の譲渡があっても、原則として、譲受人は、賃貸人たる地位を引き継ぎません(「売買は賃貸借を破る」という考え方です)ので、譲受人は、賃借人に対して明け渡しを求めることができます。
もっとも、賃借人に対抗要件がない場合でも、譲渡人と譲受人との「合意」によって、賃貸人の地位を譲受人に引き継がせることは可能で、この際に、賃借人の承諾は、例外なく(この点は判例とは異なります)必要ありません。
 他方で、賃借人に「対抗要件がある」場合、不動産の譲渡があれば、原則として、賃貸人の地位も譲受人に移転することになります。
 もっとも、不動産の譲渡人と譲受人が、@賃貸人の地位を譲渡人に留保し、かつ、Aその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸するという「合意」をしたときは、例外的に、賃貸人の地位は、譲受人に移転しません。つまり、これまでの判例とは異なり、留保の合意の効力を認めました。結局、留保の合意があった場合、@譲渡人と譲受人の間では賃貸借関係が、譲渡人と賃借人との間では転貸借関係が成立することになります。
 この点、判例が留保の合意の効力を否定する理由としていた、賃借人が、転借人という不安定な地位におかれてしまうという点をケアするために、仮に、賃貸不動産の譲渡人と譲受人(その承継人を含む)との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人の地位が、譲受人に移転することにしました。よって、賃借人は、譲渡人と譲受人の賃貸借が終了した後も、引き続き、賃借人として不動産を利用することができます。

賃貸借・表1.PNG


賃貸借・表2.PNG