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2020年07月04日

《宅建試験対策18》売主の担保責任(売買契約)に関する民法改正

≪改正されたポイント≫
a)他人の物を売買契約の目的とした場合、物権的には(所有権移転という点)それだけでは効力は生じませんが、契約としては(債権的には)有効で、売主は、真の所有者から権利を取得して買主に移転しなければなりません。では、売買契約の目的物が「全部」他人の物であった場合(全部他人物売買)に、売主が真の所有者から権利を取得できずに、買主に権利を移転できないことになったらどうなるでしょうか。
 改正前は、このようなケースでは、買主は契約の解除をすることができ、善意の買主については、損害賠償請求をすることもできるという売主の担保責任の規定がありました。
 改正後は、このような全部他人物売買の特別の規定は削除され、契約全般に共通するルールである債務不履行の中の履行不能に基づく責任で処理されることになります。したがって、買主は、売主に対して、債務不履行(履行不能)に基づいて契約の解除や損害賠償請求をすることになります。

b)物の種類・品質・数量が契約の内容に適合しない場合(「物」の不適合)、目的物に地上権や抵当権などが実はついていたケース・あるはずの敷地利用権が実際にはなかったケース・「一部」他人物売買のケースのような、権利が契約の内容に適合しない場合(「権利」の不適合)、改正前は、@一部他人物の場合、A数量不足・一部滅失の場合、B地上権等がある場合、C抵当権等がある場合、D瑕疵がある場合という類型ごとに売主の責任を細かく定めていました。
 これに対して、改正後は、物や権利の不適合全般について、本来想定されていた契約の内容(あるべき契約の内容)から見て、実際に売主によってされた履行があるべき契約内容に適合していない場合の共通ルールとして売主の担保責任を定めています。責任追及の方法は4つ認められており、あるべき契約内容に適合していないことから、債務不履行に基づく@契約の解除、A損害賠償請求ができることに加えて、売買契約の特別ルールとしてB追完(ついかん)請求、C代金減額請求が認められています。
 このうち、B追完請求というのは、あるべき契約内容に適合させるように求める(100点満点にするように求める)ことで、具体的には、修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しを求めることができます。具体的な追完方法の選択権は、基本的には買主にありますが、買主に不相当な方法を課すものでなければ、売主の方で、異なる方法による追完をすることもできます(例えば、買主が代替物の引渡しを求めたのに対して、売主の判断で修理対応をするような場合です。)。
 また、C代金減額請求は、適合していない部分に応じて代金を安くするように求めることです(例えば、不適合があるので70点だから、代金を3割減額するように求めることです。)。もっとも、代金減額請求は、原則として、買主が履行の追完の催告をしたにもかかわらず、追完されない場合にはじめてできることになっています。つまり、原則として、追完請求を先行しなければ代金減額請求はできません。

c)売主の担保責任が発生する場合に、買主は、いつまでに、どのよう方法で売主に責任追及しなければならないかについて、改正前の担保責任のうち、瑕疵担保責任では、@買主が瑕疵を知った時から1年以内に権利行使(除斥期間)をし、かつ、A一般的な消滅時効の期間内(つまり、引き渡しから10年以内)に権利行使をしなければならないとされていました。
 これに対して、改正後は、「品質・種類」に関する不適合については、@売主が不適合について悪意や重過失の場合を除き、買主が不適合を知った時から1年以内に「通知」(不適合の種類や範囲を伝えればそれで足り、権利行使までの必要はありません。)し、かつ、A一般的な消滅時効の期間内(知った時から5年以内、引き渡しから10年以内)に権利行使をしなければなりません。他方で、「数量・権利」の不適合については、「通知」の必要はなく、単に、一般的な消滅時効の期間内(知った時から5年以内、引き渡しから10年以内)に権利行使をすればよいこととされています。


売主の担保責任・表1.PNG


売主の担保責任・表2.PNG