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2020年06月12日

アンジャ渡部“トイレ不倫”…ヒルズ側が被害届出せば「建造物侵入罪」の可能性も(2020年6月12日のニュース)

 Yahoo!ニュースによれば、お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建が六本木ヒルズの地下駐車場にある多目的トイレで性行為に及んでいたと週刊文春に報じられたことを受け、若狭勝弁護士は、六本木ヒルズ側が被害届などを出した場合に「建造物侵入罪にあたる可能性がある」と指摘した、とのことです。

 まず、建造物侵入罪は刑法130条前段に規定されている犯罪で、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入」した場合に、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金になるとされています。
 そして、渡部さんの件に関係する建造物侵入罪の要件としては、@「建造物」、A「侵入」の2点があります。
 まず、「建造物」とは、屋根があり、柱などで支えられ、土地にくっついていて、人が出入りできる構造をもつもののうち住宅や邸宅以外を指し、建造物の一部(会議室、トイレなど)であっても「建造物」と言えます。
 次に、「侵入」とは、諸説ありますが、一般的には、居住者や管理者などの管理権者の意思ないし推定的意思に反する立ち入りのことを言うとされています。今回のケースのように、一般客が集まることが予定されている場所への侵入については、社会通念上一般に許される範囲の立ち入りであれば、管理権者の包括的な同意があったと言え、侵入にはあたらないことになります。具体的には、最高裁昭和58年4月8日判決において、管理権者があらかじめ立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、「建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるとき」は、建造物侵入罪が成立するとされています。
 これを多目的トイレにあてはめてみると、多目的トイレは、特に、身体障害者の方や小さいお子さんのいる方のためのトイレやおむつ替えなどのための施設であり、管理権者がそこでの性行為を容認しているとは到底考えられません。したがって、性行為目的で多目的トイレに入ることは、意思に反する立ち入りとなり、「侵入」にあたると言えます。似たような話として、盗撮目的で商業施設のトイレに入った場合も、やはり「侵入」となります。というわけで、渡部さん(その相手も)には、建造物侵入罪が成立するということになります。
 蛇足ですが、どうしてもトイレで性行為をしたければ、管理権者の意思に反しないことに留意しないといけませんので、「一人暮らしの自宅トイレでどうぞ」ということになります(それだと意味がないのかもしれませんが・・・。)。
 さらに蛇足として、夫(あるいは妻)が、妻(あるいは夫)のいない間に自宅に不倫相手を連れ込んで・・・という場合が住居侵入罪にあたるかは争いがありますが、「現実に在宅」する者の意思を基準とすれば、住居侵入罪は不成立になります。また、一口に「住居」と言っても、「○○の部屋」という領域ごとに分けて考えることもできますので、他の部屋に立ち入らなければ住居侵入罪は不成立という考え方もあります(娘が親の反対を押し切って彼氏を自分の部屋に入れるようなケースです。)。
なお、住居の管理権者とは誰かという点について、住居の登記上の名義はさほど重要ではありません。例えば、東京高裁昭和58年1月20日判決は、妻と長らく別居していた夫が、妻の住む自己所有の家屋へ、妻の不貞行為を現認する目的で、その意思に反して、前から所持していた合鍵を使って玄関から立ち入ったケースにおいて、住居侵入罪の成立を認めています。


posted by 上田孝治 at 14:51 | TrackBack(0) | 世の中のニュースを徹底分析