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2020年05月27日

過大還付された府民税1502万円使い切った男性…代理人弁護士「市のミス原因、返還義務ない」(2020年5月27日のニュース)

 「読売新聞オンライン」によれば、大阪府摂津市が、60歳代の男性に2018年度の府民税1502万円を過大に還付していたことから、市が返還を求めたものの、男性の代理人弁護士は「市のミスが原因。請求された時点で使い切っており、法律上、返還義務はない」と主張している、とのことです。

 まず、このような過大な還付が銀行振込で行われた場合の、振り込まれた方(口座名義人)と銀行との関係ですが、振込依頼人(本件で言えば摂津市)と口座名義人との間に振込の原因となる法律関係があるかどうかにかかわらず、口座名義人は、銀行に対して、振込金額相当の普通預金債権を取得します。したがって、預金の引き出しは、銀行との関係では問題ありません。
 次に、過大な還付金を受け取った方と摂津市との関係ですが、これは、過大な金額である以上、受け取った方がこのお金を持っておく法律上の理由がありませんので、受け取った方は、「不当利得」として、摂津市に受け取ったお金を返還する必要があります。
 もっとも、不当利得による返還については、法律上の理由がない「利得」であることを知らなかった場合には、現在、利益が残っている限度(これを「現存利益」と言います。)で返還すればよい(=現存利益がなければ返還しなくてよい)というルールがあります。例えば、レストランで「普通盛り」の食事を注文したところ、お店が間違って「大盛り」で提供してきて、それに気づかず全部食べてしまったような場合、大盛り分を食べたことは、法律上の理由がない「利得」にはなりますが、知らずに食べきって現存利益が残っていない以上、何も返還(お金による清算も含む)しなくてよいという結論になります。
 今回の件でも、男性の代理人弁護士が「請求された時点で使い切っており、法律上、返還義務はない」と主張しているのは、要するに、不当利得だと知らずにすべてお金を使い切って現存利益がないので、返還する必要はないという主張かと思われます。
 では、この主張が通るかどうかですが、2つクリアしなければならない問題があります。
 1つ目は、そもそも、本当に不当利得だと知らなかったのか、という問題です。過大であった額が少額であれば、確かに「過大とは知らなかった」ということもあるでしょうが、1502万円というのは、「知らなかった」で通すには金額が大きすぎるように思います。したがって、実際は、過大であると知っていたということになれば、当然、過大な還付分全額(および利息)を摂津市に返還する必要があります。
 2つ目は、仮に、本当に不当利得だと知らなかったとして、現存利益はないのか、という問題です。食べ物であれば、食べきってしまえば現存利益はないということになりますが、お金に関しては、お札そのものに意味があるのではなく、「〇〇円という価値」に意味があります(例えば、お金を両替しても現存利益は当然残っています)。そして、口座に誤って振り込まれた1502万円を引き出して実際に何かに使っていたとしても、そのおかげで、自分が元々有していた他の預貯金や資産などが減らないままキープできたとなるのが通常ですので、「価値としてのお金」は基本的には現存していることになります。したがって、仮に不当利得だと知らなかったとしても、やはり、現存利益としての金銭を返還すべきということになります。

住民税・画像.png

posted by 上田孝治 at 11:17 | TrackBack(0) | 世の中のニュースを徹底分析