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2020年05月16日

《宅建試験対策12》保証契約後の保証人保護(多数当事者の債権・債務)に関する民法改正

≪改正されたポイント≫
a)保証契約をした後の保証人保護ルールの1つ目として、主債務者から委託を受けて保証人となった者(個人・法人いずれでもOK)から請求があった場合、債権者は、その保証人に対して、主債務の履行状況に関する情報(不履行の有無、残額、期限到来している額)を提供しなければならないという規定が、改正により新設されました。
 これは、主債務者の支払いが遅れている場合に、保証人としてできるだけ早く代わりに支払って、遅延金などが膨らむのを防ぐためです。
 もっとも、この債権者に課せられた情報提供義務に債権者が違反した場合の効果は、民法上特に明記されていません。したがって、債権者の情報提供義務違反があった場合、保証人は、債務不履行一般の規定に基づいて損害賠償請求などができるということになります。

b)保証契約をした後の保証人保護ルールの2つ目として、主債務者が、支払いができなくなって期限の利益を喪失した場合、債権者は、期限の利益の喪失を知ったときから2ヶ月以内に、保証人(委託の有無を問いませんが、個人に限ります)にその旨を通知しなければならないという規定が、改正により新設されました。
 この規定も、個人保証人ができるだけ早く代わりに支払って、遅延金などが膨らむのを防ぐためです。
 そして、仮に、債権者がこの情報提供(通知)義務に違反して通知を怠った場合、債権者は、保証人に、期限の利益喪失から通知までの遅延損害金を請求できないという効果が規定されています。


保証契約後の保証人保護・表1.PNG



保証契約後の保証人保護・表2.PNG



保証契約後の保証人保護・表3.PNG

2020年05月09日

《宅建試験対策11》保証契約の効力と保証人保護(多数当事者の債権・債務)に関する民法改正

≪改正されたポイント≫
a)主債務者が、誰かに保証人になってくれるようにお願いする際に、主債務者の財産状況、主債務以外の他の債務の有無・額・履行状況などの情報について、保証人に知らせなければならないという情報提供義務の規定が改正によって新設されました。
 もっとも、情報提供義務が課せられるのは、保証のうち、@事業のために負担する債務(貸金に限らず、賃料債務や買掛債務も含みます)の保証(もしくは事業のために負担する債務を含む根保証)であること、A保証人が個人であること(つまり、法人が保証人となる場合は対象外)という要件を満たしたものだけです。
 そして、この情報提供義務に主債務者が違反した場合(つまり、情報を提供しなかったり、虚偽の情報を提供したりした場合)は、債権者が、情報提供義務違反があったことについて、悪意(知っていた)又は有過失(知らなかったが気づけた)であれば、個人保証人は保証契約を「取り消せる」ことになりました。個人保証人からすれば、主債務者の財産状況などを正確に把握していれば保証などしなかったと言えますし、債権者の方もそのことに気づけたという落ち度があるからです。

b)事業のために負担した「貸金等債務」(貸金債務や手形割引)が主債務で、(根)保証人が個人の場合、保証人が公正証書により保証する意思を表明していなければ、保証契約は原則として「無効」となります。
 これまで、事業のための借り入れに際し、金融機関などが、事業とほとんど関係のない債務者の身内を保証人とすることが当たり前のように行われていましたが、そのような安易な保証を防ぐための新しい規定です。
 具体的には、保証契約を有効なものとするためには、(根)保証契約の締結前1ヶ月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していることが必要になります。
 もっとも、この公正証書によらない事業のための借り入れの保証契約を無効にするというルールには、「経営者保証」の例外と言われるものがあります。これは、主債務者が「法人」の場合は、法人の理事・取締役や過半数株主など、主債務者が「個人事業者」の場合は、共同事業者、事業に現に従事している配偶者などについては、例外的に公正証書がなくても保証契約が有効となるというものです。実質的に主債務者の事業の経営に関わっていると評価できる者については、公正証書によらない保証契約を認めても問題ないという考え方によるものです。ちなみに、この例外にあたる場合、「公正証書が不要」になるだけですので、経営者保証であっても、保証契約である以上、口頭での契約は当然効力をもちません。

c)保証の中には、「根保証契約」と呼ばれる「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約」があり、例えば、信用保証、賃貸借契約の保証人、入院保証、雇用契約の身元保証などのことをいいます。
 改正前の民法では、主債務の範囲に「貸金等債務」(貸金債務や手形割引)が含まれる個人による根保証契約については、「極度額」(保証する限度額)を定めない場合、契約は無効になるという規定がありました。
 しかしながら、この規定は、あくまでも、「貸金等債務」だけを対象としていますので、そうではない債務(例えば、売買代金債務や不動産賃借債務など)の根保証契約については、極度額を定めなくても有効とされていました。
 そこで、改正法では、「貸金等債務」以外にもこのルールを広げ、「個人の根保証契約全般」に極度額ルールが適用されることになりましたので、極度額の定めがない「個人根保証契約」は広く無効とされます。
 そのため、例えば、賃貸住宅における賃借人の連帯保証についても極度額ルールが適用されることになり、保証人が責任を負う極度額を定めなければならないことになりましたので、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」もそれに合わせて改定されました。


保証契約の効力・表1.PNG


保証契約の効力・表2.PNG

2020年05月02日

《宅建試験対策10》保証債務の性質(多数当事者の債権・債務)に関する民法改正

≪改正されたポイント≫
a)保証債務には付従性がありますので、改正前から、保証人は、主債務者が有する抗弁権を援用できる(例えば、主債務者が同時履行の抗弁権を有している場合、保証人も支払を拒絶できる)と解釈されており、このような趣旨から、条文上も、「相殺」についての規定がありました。
 改正後は、条文上も「相殺」に限定せず、保証人は、主債務者が主張できる「抗弁全般」を債権者に対抗できるという規定になりましたので、実質的な変更ではありませんが、従来の解釈を明文化したものと言えます。
 もっとも、主債務者が、その意思表示をすることによって債務を免れることになる「相殺権、取消権、解除権」という権利を有している場合、それらの権利を有していない保証人が、自ら権利を行使することまで認めるのは行き過ぎであると従来から考えられていました。
 そこで、改正民法は、このような考え方を前提に、主債務者が「相殺権、取消権、解除権」を有する場合には、これらの権利を行使することによって主債務者が債務を免れる限度で、保証人が債権者に「履行を拒める」という規定を新たに設けました。

b)保証には、普通保証(単なる保証)と連帯保証(主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人)とがあります。
そして、主債務者に生じた事由は、原則として保証人(連帯保証人を含む)に影響を及ぼすのに対して、保証人(連帯保証人を含む)に生じた事由は、原則として、主債務者には影響を与えません。
 もっとも、保証人(連帯保証人を含む)に生じた事由のうち、債権者を満足させる事由(弁済、相殺、更改の3つ)については、例外的に主債務者に影響を及ぼし、主たる債務も消滅することになります。
 さらに、改正民法では、保証のうち、「連帯保証」については、この3つに加えて、「混同」も主債務者に影響を及ぼすとなっていますので、全部で4つの例外があることになります。
 なお、改正前は、連帯保証については、これらの4つ以外に「請求」も主債務者に影響を及ぼす(全部で5つの例外あり)とされていましたが、改正により「請求」は相対効に変わりました。したがって、「連帯保証」と「連帯債務」は、いずれも、@弁済、A相殺、B更改、C混同の4つだけが絶対効になりましたので、改正前と比べると覚えやすくなっています。


保証債務の性質・表1.PNG



保証債務の性質・表2.PNG


保証債務の性質・表3.PNG