カテゴリ

2020年04月25日

《宅建試験対策9》連帯債務(多数当事者の債権・債務)に関する民法改正

≪改正されたポイント≫

a)連帯債務者の1人に対して、履行の請求をすると、請求を受けた連帯債務者の時効の完成猶予や、履行遅滞につながることになります。
 そして、この履行の請求の効果が、請求を受けていない他の連帯債務者にどのような影響を及ぼすかについて、改正前は、連帯債務者のうちの1人に請求することで、他の連帯債務者に対しても請求したのと同じ扱い(いわゆる絶対効)になるとされていました。
 しかし、改正により、請求の効果は、実際に請求を受けた連帯債務者にしか及ばず、他の連帯債務者には請求の効果は生じない(いわゆる相対効)ことに変わりました。

b)連帯債務者の1人に対する債務の免除があった場合、その連帯債務者には、免除の効果が当然及びますので、例えば、全額免除を受ければ、債権者に対して支払う義務はなくなります。
 そして、この免除の効果について、改正前は、免除を受けた連帯債務者の負担部分の限度で、他の連帯債務者の債務も消滅する(つまり、負担部分のみ絶対効)となっていました。
 しかし、改正により、債務の免除は相対効となりましたので、免除の効果は他の連帯債務者には及ばないことになりました。したがって、他の連帯債務者の債務は消滅しません。なお、この場合に、他の連帯債務者が債権者に対して連帯債務を支払えば、免除を受けた連帯債務者に対する求償をすることは可能です。

c)連帯債務者の1人について消滅時効の完成があった場合、その連帯債務者の債務は消滅し、債権者に対して支払う義務はなくなります。
 そして、この時効の効果が他の連帯債務者に対してどのような影響を及ぼすかについて、改正前は、時効完成があった連帯債務者の負担部分の限度で、他の連帯債務者の債務も消滅する(つまり、負担部分のみ絶対効)となっていました。
 しかし、改正により、時効の完成は相対効となりましたので、時効完成の効果は他の連帯債務者には及ばないことになりました。なお、この場合に、他の連帯債務者が債権者に対して連帯債務を支払えば、時効により債務が消滅した連帯債務者に対して求償できることは免除と同じです。
 結局、消滅時効の完成については、改正前後を通じて、免除の場合と全く同じ扱いをすることになります。

d)連帯債務者の1人が、債権者に対して債権(反対債権)を有している場合、改正前は、その連帯債務者の負担部分の範囲で、他の連帯債務者は、その反対債権を使って「相殺できる」とされていました。
 しかし、他人の債権を使って相殺までできるのは行き過ぎではないかということで、改正後は、他の連帯債務者が相殺することはできなくなりました。その代わりに、反対債権を有する連帯債務者が相殺を援用するまでの間、その負担部分の限度で、他の連帯債務者は、債権者に対する「履行を拒める」ことになりました。例えば、連帯債務者2人で1000万円の連帯債務を負っている場合に、1人の連帯債務者が1000万円の反対債権を有していれば、相殺されるまでの間、もう1人の連帯債務者は、債権者から1000万円の請求があっても、500万円については支払を拒めることになります。


連帯債務・表1.PNG



連帯債務・表2.PNG

2020年04月24日

《兵庫県内の事業者向け》新型コロナウイルス対応のためのサイト紹介(随時更新)

兵庫県労働局による労働問題(労働条件、安全衛生、雇用の維持・確保に関する助成金等)に関する特別相談窓口

  • 新型コロナウイルス感染症対応資金【セーフティネット保証(4号、5号)、危機関連保証の認定を取得した中小企業者、個人事業主】
  • 新型コロナウイルス対策貸付【最近1か月間の売上高が前年同期に比べて(一般保証、セーフティネット保証を利用する場合。セーフティネット保証4号を利用する場合は20%)5%以上減少している方】
  • 新型コロナウイルス危機対応貸付【最近1か月間の売上高が前年同期に比べて15%以上減少している方(危機関連保証の認定取得が要件)】
  • 借換等貸付(新型コロナウイルス対策)【県制度融資等の借入残高があり、既往債務の負担軽減が必要な方(新型コロナウイルス対策貸付と同様、最近1か月間の売上高が前年同期に比べて5%以上減少していることが必要)】
  • 経営活性化資金(新型コロナウイルス対策)【速やかな資金調達が必要な方(新型コロナウイルス対策貸付と同様、最近1か月間の売上高が前年同期に比べて5%以上減少していることが必要)】

尼崎市の事業者や労働者向けに、以下の情報がまとめてあります。
 @新型コロナウイルスに関する相談窓口(事業者向け)
 Aテナント事業者向け「緊急つなぎ資金」貸付制度
 B新型コロナウイルスに関する融資支援(事業者向け)
 C新型コロナウイルスに関する助成金等その他の支援情報(事業者向け)
 D労働者向け相談窓口について
 E助成金等その他支援

新型コロナウイルスの影響を受ける恐れがある神戸市内の中小企業・小規模事業者に役立つ情報(資金繰り、給付金・支援金、雇用を守る(休業手当等)、相談窓口、税・使用料の支援、販路開拓・消費喚起)がまとめられています。

新型コロナウイルス感染症で影響を受ける西宮市の事業者・従業員の皆様にご活用いただける支援策・相談窓口の情報がまとめられています。



2020年04月19日

《宅建試験対策8》債務不履行に基づく損害賠償請求(債権の目的・効力)に関する民法改正

≪改正されたポイント≫

a)債務不履行に基づいて損害賠償請求する場合に、対象となる損害の種類としては、@通常損害(その種の債務不履行によって通常生ずるような損害)とA特別損害(通常生じるものではないが、今回は特別の事情があって生じた損害)の2つがあります。

 このうち、Aの特別損害については、改正前の条文では、当事者がその事情を「予見し、又は予見することができたとき」は賠償を請求できるとなっていました。

 しかし、改正後は、当事者がその事情を「予見すべきであったとき」は賠償を請求できるという表現に変わったことから、予見できたかどうかという「予見可能性」ではなく、予見義務が認められるかどうかがポイントになりました。細かな違いではありますが、改正後の「予見すべき」という規範的な表現を覚えておきましょう。


b)債務不履行に基づく損害賠償請求の場面で、債権者に何らかの落ち度があった場合に、過失相殺により損害賠償責任や額を定めることになります。

 この過失相殺で問題とすべき債権者の過失の範囲(債権者のどのような種類の落ち度まで含むか)について、改正後の条文では、対象となる範囲を、債務不履行自体だけでなく、債務不履行による「損害の発生若しくは拡大」に広げました。つまり、債務不履行そのものには債権者の落ち度がなくても、損害を発生させたり、損害をより大きくさせたりした点について債権者に落ち度があれば、その点も過失相殺の対象となるということです。

 もっとも、改正前も、解釈としては、損害の発生や拡大に関する過失も過失相殺の対象に含めるべきとされていましたので、実質的な変更とまでは言えませんが、条文上の変更があったことは押さえておきましょう。


c)契約当事者間において、債務不履行の場合の損害賠償の額をあらかじめ決めていた(損害賠償額の予定)場合、改正前は、「裁判所は、その額を増減することができない」という規定がありました。

 しかし、この規定に反して、予定された賠償額が高額すぎる場合などに、具体的な妥当性の観点から、金額の調整を行う裁判例もあったことから、改正によりこの規定は削除されました。

 もっとも、この規定が削除されたからと言って、損害賠償額の予定がなされている場合に、裁判所がこれを全く無視して自由に損害額を増減できるわけではありません。したがって、この改正による規定の削除は、実質的な変更とまでは言えません。



債務不履行に基づく損害賠償請求・表1.PNG



債務不履行に基づく損害賠償請求・表2.PNG

2020年04月16日

新型コロナウイルスの影響により、金融機関や貸金業者への借金返済が困難になった方へ

 新型コロナウイルスの感染拡大と、都市部を中心とした事業活動の自粛により、収入が減少するなどして、これまでどおりの借金の返済が困難となり、悩まれている方も多いと思います。
 この点について、金融庁が、2020年4月7日付で、全国銀行協会や日本貸金業協会などの関係団体に対し、借金の返済に関する柔軟な対応などをするように、各団体の会員である金融機関や貸金業者などに周知徹底するよう要請が出ていますので、リンクを張っておきます。

 金融庁(令和2年4月7日)『「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を踏まえた資金繰り支援について(要請)』

 以下に、金融庁からの要請のポイントをまとめておきますが、実際に、返済などの猶予に柔軟に応じてもらえるケースも出てきているようですので、まずは生活を第一とし、返済については、あまり無理をされないようにしてください。

1.新規融資の積極的な実施やこれまでの債務の条件変更の迅速かつ柔軟な対応を行うこと。その際、貸出し後の事業者の返済能力の変化を適時適切に捉えた、据え置き期間や貸出期間等の条件変更の柔軟な対応を徹底すること

2.貸出等の条件となっている財務制限条項(コベナンツ)に事業者が抵触している場合であっても、これを機械的・形式的に取り扱わないこと、具体的には、@事業者の経営実態をきめ細かく把握し、直ちに債務償還等を要求することのないよう対応すること、Aコベナンツの変更・猶予に関する事業者からの相談には迅速かつ真摯に対応すること

3.住宅ローンや個人向けローンについて、個人顧客のニーズを十分に踏まえた条件変更等について、迅速かつ柔軟な対応すること

4.新型コロナウイルス感染症により影響を受けた顧客から支払猶予等の申出を受け、一定期間猶予した場合には、信用情報機関に延滞情報として登録しないこと
posted by 上田孝治 at 00:53 | TrackBack(0) | 借金・破産・債務整理コラム

2020年04月12日

《宅建試験対策7》法定利率(債権の目的・効力)に関する民法改正

≪改正されたポイント≫

 債権に利息が生じる場合の利率について、改正前は、特約がない限り「年5分(5%)」とすることが民法で定められていました(法定利率)。

 しかしながら、現実には、超低金利が長期にわたって続いていることから、改正後は、法定利率を「年3%」に下げることとし、合わせて、世の中の金利動向をふまえて、3年ごとに1%きざみで変動する可能性がある(変動金利制)としました(具体的には、法務省令で変動金利を定めることになります)。

 つまり、改正前は5%の固定金利制だったものを、改正後は、3%からスタートしつつ、3年ごとに1%ずつ変動する可能性がある変動金利制となりました。したがって、2020年度の宅建試験対策上は、法定利率は年3%で、制度としては3年ごとの変動金利制という理解でOKです。




法定利率・表.PNG